2023年10月
グローバル人材動向
日本版
働き方の変化に関するデータに基づくインサイト
グローバル人材動向
日本版
働き方の変化に関する
データに基づくインサイト
グローバル人材動向
日本版
働き方の変化に関する
データに基づくインサイト
労働市場の動向が候補者、従業員、職場に与える影響についての理解を深めるために、LinkedIn Economic Graphとメンバーコミュニティの両方からのデータに基づくインサイトを紹介します。
労働市場動向
採用の落ち込みは全世界で継続
20ヶ国のサンプルでは、前年比の採用率が低下し続けています。
2022年8月と2023年8月の比較
* 季節調整済み。
調査方法: LinkedIn採用率 (LHR) とは、LinkedInメンバーのうち、新たな勤務先での就業開始月にプロフィール欄に新しい会社名を追加した人の数を、その国のLinkedInメンバーの総数で割った数です。最新のデータのみを分析することで、月ごとの比較を行えるほか、メンバーがプロフィールを更新する際に発生しうる時間差も考慮できます。
LinkedIn Chief EconomistのKarin Kimbrough氏
は次のように語ります
採用率は前年比で見ると依然として減少していますが、その割合は鈍化しており、安定化の兆しと捉えることが
できます。現在は労働市場の緩やかな揺り戻しが起きていると見ています。つまり、雇用主はより慎重なペースで
採用を行い、従業員の定着期間がより長くなっているわけです。
Karin Kimbrough氏から人事担当者へのアドバイス:
このような経済情勢において、企業に求められるのは素早い対応であり、
人材戦略では重要です。
これまで以上に慎重な姿勢で人材採用に臨んでいる人事担当者は、この機会に社内の人材の把握と育成に力を入れ、今後の労働市場やマクロ経済の変動に対応できる組織を整備すべきです。
採用動向
求職者の求人検索
活動が活発に
11ヶ国を対象としたサンプルでは、候補者の求人応募率が過去1年間で増加しています。
候補者による求人応募数の前年比変化
調査方法: 応募者当たりの求人応募数は、求人掲載と同じ国のメンバーが提出したPremium求人への求人応募数に基づいて算出しています。
さらに、前年比の結果を考慮して、求職活動の活発さを推定しました。
日本では、AIに言及した求人がより多くの候補者エンゲージメントを獲得
日本の場合、過去2年間でAIまたは生成AIに言及したLinkedIn求人掲載は、AIに言及していない求人掲載に比べて応募数の伸びが26%大きいという結果が出ています。
調査方法: 2023年7月までの過去24ヶ月間を対象に、企業の有料求人掲載の業務内容をすべて取得し、10言語 (英語、スペイン語、フランス語、日本語、オランダ語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、トルコ語、中国語) で人工知能や生成AIのタグが付けられた求人掲載を分析しました。
LinkedInグローバル人材採用担当VP (バイスプレジデント) のErin Scruggs氏は次のように語ります。
求職者の検索範囲が広がる中、採用担当者に届く応募数が増える傾向にあります。人材採用チームにとって、効率性は常に重要です。特にこのような市場では重要性が高いと言えます。
Erin Scruggs氏から人事担当者へのアドバイス:
候補者が多いのは好ましいことですが、人材採用業務に課題をもたらすという側面もあります。採用担当者が自社のニーズにマッチしたスキルや知識、モチベーションを持つ候補者を効率よく見つけるにはどうすればよいでしょうか?
人材採用担当者には、組織全体の連携と一貫性に目を向け、採用方針と採用プロセスの双方を細かく検討することをお勧めします。採用責任者や面接チームが人材の評価方法に精通していることを期待して戦略を策定すると、失敗する可能性があります。教育とトレーニングを施すことが最善の結果につながります。
AIのタグが付けられた求人掲載に注目する候補者は、その道に精通しており、機会が得られる場所で働きたいという意志を示しています。
従って、市場で後れを取らないためには、求人掲載で少なくとも自社のAI戦略の基本的なロードマップをシェアすることが、大部分の企業にとっての最低要件だと思います。
キャリア開発動向
日本ではキャリア開発に関する従業員の自信(Confidence)が向上
12ヶ国を対象としたLinkedInのWorkforce Confidence Indexでは、大部分の回答者が1年前より自身のキャリアアップの見通しに対する自信が低下していることが見て取れますが、日本には明るい要素があります。
日本では、キャリアアップの見通しに対する回答者の自信が18ポイント上昇しました。
調査方法: LinkedInのWorkforce Confidence Indexは、毎日メールでLinkedIn登録者 に配信され、2週間ごとに集計されるオンラインの定量調査に基づいています。調査では、「来年キャリアアップできる自信がある」という記述に自分がどの程度当てはまるか、5段階評価で回答してもらいます。1万人を超えるメンバーの回答結果から無作為にサンプリングしています。調査への参加の意思を示したメンバーからの結果のみを集計しています。学生、専業主婦/主夫、退職者は分析から除外されるため、現在働いている人の正確な実態を把握できます。LinkedInが集約データを分析しますが、メンバーのプライバシーは常に尊重されます。データはエンゲージメントのレベルに応じて重み付けされ、プラットフォームのさまざまなアクティビティのレベルを公平に表します。その結果はLinkedInメンバーから見た状況を表しており、LinkedInメンバーと全体的な労働人口との相違については考慮されません。
LinkedIn人材開発担当シニアディレクターのStephanie Conway氏は次のように語ります。
従業員が会社に留まる、あるいは会社を辞める主な理由の一つがキャリア開発の機会であることは以前から知られています。一人一人異なるニーズを持つ従業員に対し、キャリア開発がどのような意味を持つのかを深く理解することは、難しいですが重要な仕事です。
Stephanie Conway氏から人事担当者へのアドバイス:
従業員一人ひとりのニーズに応じたキャリア開発をスタートさせるため、本人が目標を設定できるようサポートしましょう。
明確なキャリア目標を設定した従業員は開発すべきスキルをよく理解しているため、初志貫徹する可能性が高いことが分かっています。
私の経験上、次のキャリアを検討中の従業員をサポートする際は、特定の役職にこだわらないことが重要です。その代わりに、本人が開発したい具体的なスキルや、そのために役立つ職務経験を見極めたほうが効果的です。
まずは、仕事への同行 、配置転換 (社内異動) の事例を紹介するなど、さまざまなプログラムを通じて、自社におけるキャリア開発の機会を従業員に紹介しましょう。そうすれば、個人のキャリア開発を促進する一方で、組織のレジリエンス (回復力) やアジリティ (対応力) も向上させることができます。
スキルと配置転換 (社内異動) の動向
日本では、従業員のスキル開発をサポートしている企業ほど、配置転換 (社内異動)が多い
過去12ヶ月間に従業員のスキル開発が進んでいる企業は、遅れている企業より配置転換 (社内異動) 率が15%高くなっています。
日本全体では、配置転換 (社内異動) 率が59%とさらに上昇しました。
調査方法:
開発されたスキル: 「追加されたスキル」には、LinkedInメンバーが過去12ヶ月間に会社で何らかのポジションに就いている間にプロフィールに追加したスキルが考慮されています。スキルの開発が「進んでいる」企業は、過去12ヶ月間に従業員がプロフィールに追加したスキル数の中央値で90パーセンタイル 以内、「遅れている」企業は10パーセンタイル以内でした。
配置転換 (社内異動): すべてのデータは、2023年7月時点のLinkedInメンバー(登録者)のアクティビティを元に集計しています。ここでの配置転換 (社内異動) は、従業員が2023年7月までの12ヶ月間に同一企業内で新しいポジションに就いた場合を指します。配置転換 (社内異動) 率は、100件以上の異動があった会社のみを対象として中央値を算出しました。
LinkedIn人材担当VP (バイスプレジデント) のJennifer Shappley氏は次のように語ります。
企業はこれまでに見たことがないほどスピーディーに新しいスキルを必要としています。そのため、スキルアップと配置転換 (社内異動) によって従業員の成長をサポートしなければなりません。数年前であれば、企業は必要な新しいスキルを「買う」ために人材採用に頼る傾向が見られましたが、今日の労働市場とビジネス環境では、もはやその戦略だけでは通用しません。
Jennifer Shappley氏から人材リーダーへのアドバイス:
このインサイトには、採用部門と人材開発部門を統合した動的な人材管理モデルを採用することの利点が明確に示されています。
今日の従業員は、新たなポジションを探求し、新しいスキルを学ぶ機会をこれまで以上に求めています。採用と人材開発を統合すれば、人材と組織のサポートを同時に強化できます。
質問やコメント、フィードバックがございましたら、レポート編集担当のKris Kittoまでご遠慮なくお問い合わせください。
人材動向やインサイトの詳細はブログ(英語) をご覧ください。