日本
2022年10月
グローバル人材動向
2022年10月
グローバル人材動向
2022年10月
グローバル人材動向
働き方の変化をデータから読み解く
労働市場の動向が候補者、従業員、職場に与える影響についての理解を深めるために、LinkedIn Economic Graphとメンバーコミュニティの両方からの、データに基づくインサイトを紹介します。
採用動向
採用状況は史上最高を記録した後、横ばいに
今年は前年に見られたコロナ禍後の回復から採用活動が控えめになり始めているため、主要国では全体的に成長のペースが減速しています。
この1年間で以下14ヶ国すべての国での採用活動が低下しました。
2021年9月から2022年9月までの採用活動の変化
調査方法: LinkedIn採用率 (LHR) とは、LinkedInメンバーのうち、就業開始月に新しい会社名をプロフィールに追加した人の数を、その国のLinkedInメンバーの総数で割ったものです。最もタイムリーなデータのみを分析することで、月ごとの比較を行えるほか、メンバーがプロフィールを更新する際に発生しうる時間差も考慮できます。
*= 季節調整済み
LinkedIn APAC Head Economist Pei Ying Chua
「今年は前年のコロナ禍後の回復から採用活動が控えめとなっています。アジア太平洋 (APAC) 地域の主要経済大国 (オーストラリア、インド、ニュージーランド、シンガポール) では成長のペースが減速しています。不確実な世界経済情勢の中で、採用活動は昨年の史上最高値から低下を続けています。
とはいえ、APACの労働市場は依然として逼迫しており、多くの国では失業率は低く推移しています。したがって、来年も引き続き需要のあるスキルを持つ人材の獲得競争激化が予想されます。LinkedInのデータでは仕事に求められるスキルは2015年から約25%が変化、その割合は2025年までに40%に達する見込みです。
Pei Yingからの提案:
「スキルを重視して採用、従業員のスキルアップとリスキリングに投資をするべきです。さらに、社内の配置転換の文化を育んでいる企業は優れた人材を獲得・維持することが容易です。LinkedInのデータでは、社内の配置転換に成功している会社では従業員勤続年数が平均5.4年です。この数字はそうでない会社と比較して約2倍です。関連性が高く、需要のあるスキルを身につけた従業員を備えていれば、会社は不確実性や混乱の時代にあっても素早く方向転換し、適応していけるはずです」
LinkedIn Chief EconomistのKarin Kimbroughのコメント
昨年、史上稀に見る急激な経済の回復が落ち着き、今年は成長のペースが減速しています。
とはいえ、労働市場環境は引き続き厳しい状況です。そのため、従業員は依然として給与をはじめ、柔軟性や福利厚生などに関して企業に改善を要求する力を持っています。しかし、この力関係は今後数ヶ月で対等になり始める可能性があります。
この不確実な背景の中で、雇用は昨年見られた史上最高値から、さらに減速することが予想されます。
Karin Kimbroughからの提案:
従業員が持つスキルと、自社が必要とするスキルを引き続き把握しましょう。そうすることで、あらゆる経済情勢や労働市場の変動性に効果的に対応できるはずです。
労働人口における信頼感に関する傾向
不況を憂慮する従業員
LinkedInの「Workforce Confidence Index (労働人口における信頼感指数)」サーベイの対象である8ヶ国では、今後6ヶ月間に自分の経済状態を改善できることに自信があるとする候補者と従業員は、低下または低水準のままという結果になりました。
これに関して、日本では回答者全体の自信は今年の初めから3ポイント低下しています。
従業員が自分の経済状態を改善できるという自信のポイントの変化 (2022年1月から8月まで):
参照元: LinkedInが実施した市場調査
調査方法: LinkedInのWorkforce Confidence Indexは、毎日メールでメンバーに配信され、2週間ごとに集計されるオンラインの定量調査に基づいています。5段階評価で、「今後6ヶ月で自分の経済状態を改善できる自信がある」という考えに、どの程度当てはまるかを尋ねます。1万2,000 人を超えるメンバーが各回の調査に回答した結果を無作為にサンプリングする/参加を目的に調査対象に選ばれる必要があります。学生、専業主婦/主夫、退職者は分析から除外されるため、現在働いている人の正確な実態を把握できます。LinkedInが集約データを分析しますが、メンバーのプライバシーは常に尊重されます。データはエンゲージメントのレベルに応じて重み付けされ、プラットフォームのさまざまなアクティビティのレベルを公平に表します。その結果はLinkedInメンバーから見た状況を表しており、LinkedInメンバーと全体的な労働人口との相違については考慮されません。
LinkedIn APAC Head EconomistのChua Pei Yingのコメント
過去12ヶ月間で経済は目まぐるしく変化しました。2021年後半に見られたコロナ禍後の急速な回復は、過去最高の物価上昇率と景気減速へと切り替わりました。こうした絶え間ない変化のために、従業員は必然的に今後の見通しが立たなくなり、自分の経済状態を改善できるという自信もなくなっています。
Pei Yingからの提案:
● 従業員の経済的な安定に対する不確実性や恐れは、過度のストレスや精神的負担を招き、私生活や仕事のパフォーマンスに影響を及ぼしかねません。こうした不安を和らげるには透明性が重要となり、従業員が不安を吐き出したり、質問したりできるチャネルを用意することが、健全な職場環境の構築に大いに役立つでしょう。
● LinkedInが実施した「Talent Drivers」サーベイでも、APAC地域の従業員は (報酬を除き) キャリアアップとスキルアップを優先事項の上位に挙げていました。リーダーシップ育成トレーニングなどのプログラムの導入や、各種講座の実施を検討して、従業員と企業の双方にメリットをもたらしましょう。
● 従業員の経済的な安定に対する不確実性や恐れは、過度のストレスや精神的負担を招き、私生活や仕事のパフォーマンスに影響を及ぼしかねません。こうした不安を和らげるには透明性が重要となり、従業員が不安を吐き出したり、質問したりできるチャネルを用意することが、健全な職場環境の構築に大いに役立つでしょう。
● LinkedInが実施した「Talent Drivers」サーベイでも、APAC地域の従業員は (報酬を除き) キャリアアップとスキルアップを優先事項の上位に挙げていました。リーダーシップ育成トレーニングなどのプログラムの導入や、各種講座の実施を検討して、従業員と企業の双方にメリットをもたらしましょう。
LinkedIn Principal EconomistのGuy Bergerのコメント
ここ数年、世界の経済は変化球の連続でした。パンデミックがあったと思えば急激な異例の回復期があり、サプライチェーンの混乱や、過去40年間で最高のインフレもありました。もっと最近では、世界のさまざまな地域で経済成長の急激な減速が見られ、多くの人が将来に不安を抱いています。
当然ながら、従業員もこの不確実な状況を痛感しており、自分たちの健康だけでなく、会社に居続けられるのかという (経済的な) 不安も抱えてきました。こうした不安感は、彼らの仕事とプライベートいずれの生活にも浸透しています。
Guy Bergerからの提案:
従業員の不安を消し去ってあげることはできなくても、不安を軽減するのに最善を尽くすことは可能です。それは「少しの資源で多くのことをこなす」と言えるかもしれません。従業員の士気や自信を支えるために、限りある資源を賢く合理的に活用しましょう。給与よりも福利厚生を手厚くした方が効果的かもしれませんし、その逆もあり得ます。たとえば、これまで見落としていた可能性のある、比較的低コストで価値の高い福利厚生を検討してみてはいかがでしょうか。従業員の声に耳を傾けるとともに、困難な時期はいつかは終わると知った時の彼らの安心感を軽んじてはいけません。
候補者が重視するものに関する傾向
日本の候補者が最も重視するのは報酬
「報酬」がリストのトップでしたが、1年を通して順位が変動し、2位や、時には3位に落ちることもありました。 昨年の同時期には2位だった「ワークライフバランス」を抜き、「影響力のある仕事」が次点となりました。
日本の候補者による優先順位付け (2022年8月)
報酬
給与・福利厚生が充実している
報酬
給与・福利厚生が充実している
インパクト
やりがいとインパクトがある仕事
インパクト
やりがいとインパクトがある仕事
ワークライフバランス
仕事とプライベートの切り替えに協力的
ワークライフバランス
仕事とプライベートの切り替えに協力的
柔軟性
柔軟な勤務体制 (働く時間や場所など)
柔軟性
柔軟な勤務体制 (働く時間や場所など)
5. 満足感
従業員としての満足感と感動
6. 革新性
やりがいとインパクトがある仕事
7. スキルアップ
有望なスキルの学習機会
8. キャリアアップ/ダイバーシティ
社内でのキャリア成長の機会
9. 上司
頼りになる上司
10. ミッション
自分自身の価値観に合う企業理念
5. Happy
Happy and inspired employees
6. Innovative
Challenging and impactful work
7. Upskill
Opportunities to learn new, highly desired skills
8. Advancement/diversity
Opportunities for career growth within the company
9. Management
Helpful and supportive direct managers
10. Mission
Company driven by values that match your own
参照元: LinkedInが実施した市場調査
調査方法: 候補者が優先する条件は、LinkedInが世界のメンバーを対象に毎月実施している「Talent Drivers」サーベイに基づいています。
LinkedInグローバル人材採用担当VP (バイスプレジデント) のJennifer Shappleyのコメント
私たちを取り巻く経済の変動性の中で、人々は常に安定を求めています。そのため、候補者が機会を評価する際に報酬を優先しているのは、もっともなことと言えます。
私にとってさらに興味深いのは、パンデミックが始まって以降、先行き不透明な状況に直面してもなお、人々はこれまで多くの注目を集めてきた仕事と生活に関する2つの項目 (ワークライフバランス、リモートワークをはじめとする柔軟な勤務形態) を、非常に重要視しているという点です。これら2つの特性は、今後数年間、候補者が優先する条件の上位にとどまると予想しています。
Jennifer Shappleyからの提案
最近の候補者が求めているのは、彼らを人間として尊重し、ワークライフバランスの実現に力を貸してくれる企業です。人材リーダーとして、候補者には自社が重視するものと、従業員をサポートする方法を説明できるようにしておく必要があります。そしてこれは単なる採用戦略ではなく、最適な人材を維持するための鍵でもあります。これらを理解し、従業員の話に耳を傾けることは、優秀な人材を惹きつけ、維持するための採用・維持戦略を策定するうえで、ますます重要になります。
日本ではリモートワークを希望する候補者が増加し、企業もリモートワークの求人掲載を増やしています。
日本では、LinkedInでのリモートワークの求人掲載が2021年9月から3%増加し、リモートワークの求人応募数は同期間にほぼ7%増加しています。
● リモートワークの求人掲載の比率が最も高いのは2022年4月で、全体の求人掲載の23.4%を占めていました。その後10.8%に落ち着いたものの、求人の応募については21%がリモートワークの職務となっています。
● これは日本の候補者が引き続きリモートワークを希望しており、リモートワークへの求人応募が安定して高い比率を占めていることを示しています。
日本では、LinkedInでのリモートワークの求人掲載が2021年9月から3%増加し、リモートワークの求人応募数は同期間にほぼ7%増加しています。
● リモートワークの求人掲載の比率が最も高いのは2022年4月で、全体の求人掲載の23.4%を占めていました。その後10.8%に落ち着いたものの、求人の応募については21%がリモートワークの職務となっています。
● これは日本の候補者が引き続きリモートワークを希望しており、リモートワークへの求人応募が安定して高い比率を占めていることを示しています。
リモートワークの求人は世界全体でも人気です。
調査方法: このデータは、過去12ヶ月における世界中のLinkedInの有料求人掲載を基にしています。